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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)24号 判決 1949年5月09日

被告人

山田滝夫

主文

原判決を破棄する。

被告人を懲役拾月に処する。

但本判決確定の日から五年間右刑の執行を猶予する。

原審に於て生じた訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

本件控訴の理由は末尾添附の被告人及弁護人梅山実明各名義の控訴趣意書記載の通りであるか、之に対し当裁判所は次のように判断する。

弁護人梅山実明名義の控訴趣意書第三点に付、原審公判調書に審判を公開したこと又は公開を禁じたこと及其の理由に付何等の記載がないのは洵に所論の通りであるが、原審に於て其の公開を禁じたことに付いては、本件記録上に適確な証拠がなく、却て前記公判調書には原審の審理判決に際し檢察官及弁護人が夫々立会した旨記載があるから、原審の審判が公開されなかつたのであれば、本件事案の内容に照し、右に付必ずや訴訟当事者から異議の申出があるべき筋合であるに拘らず、斯かる異議の申出があつた事跡は之を認め得ないのであり、然かも裁判の対審判決は之を公開しなければならぬことが憲法上的示されて居る裁判手続の大原則であつて、法定の特殊事由に依つて公開を禁じない限り、右原則に從い公開されることが常例であるに鑑み、原審に於ても其の対審判決を公開したものと解するを相当とするが故に、論旨は理由がない。

〔備考〕 結局刑の量定不当の主張を容れ、この点で原判決を破棄している。

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